個人消費は回復したのか?~定点観測調査 ”MACROMILL WEEKLY INDEX”調査から顧みる~COLUMN

2016.02.03
マクロミル総合研究所
研究員 村上智章

2015年はTPPが妥結されたが、その内容は公表されていない。また、消費増税を見据えた軽減増税の議論も行われているが、一般生活者の消費行動に大きな影響を与えるような出来事はなかったように思える。
2011年3月から毎週実施している、消費の実態や景況感を把握するための1,000人調査”MACROMILL ”の調査結果から、改めて2015年の消費者の行動や意識の概況を振り返ってみる。

2015年の消費金額の動向

MACROMILL は、過去4年分の毎週の消費金額データを収集している。このうち、家賃やローン、公共料金や電話料金などの月単位の支出は除いて身の回りの消費に関する金額を回答してもらっている。また、1週間という短期間での消費行動を扱うため、クルマや家電製品といった耐久消費財の消費を正しく把握できてはいない。しかしながら、週単位での消費行動を同じ設問で定点観測していると、日本人の消費性向がよく見えてくる。
日本人の消費の山は「年末年始」と「ゴールデンウィーク」、そして「お盆」に訪れている。また、暦の関係で5連休となった企業が多かった2015年は9月の「シルバーウィーク」にも消費の山があり、個人消費金額は「お盆」を上回っていた。

また、2014年と2015年でグラフの動きが大きく異なっているのが3~4月だ。2014年は8%増税前の3月の駆け込み需要と、その反動による4月1日の増税以降の消費引き締めで、例年と異なる消費動向が見られた。2015年は消費動向に影響する大きな出来事は無かったが、4月の消費金額は2014年並みに低調であった。しかしながら、2013年も4月の消費金額も同水準であることから、総じて4月は消費が落ち着く時期であろう。むしろ、消費税の影響による消費が低迷していたのは2014年のGW後から7月上旬であったように見える。

過去4年の年間消費金額の変化

過去4年分の年間の個人消費金額を比較してみると、2015年は84.8万円で2013年、2014年とほぼ同じであった。2012年のみ88.3万円と多いが2013年以降はほぼ同じである。景気を判断する指標には様々なものがあるが、マクロミルが実施しているこの測定方法による個人消費金額はこの3年間で変化していない。

日本、そして中国の景況感の変化

さて、次に中国の消費についても見てみよう。マクロミルでは中国の主要都市においても隔週でMACROMILL WEEKLY INDEX 中国を実施している。
2015年の流行語大賞では、訪日中国人による「爆買い」が受賞したように、日本のインバウンド需要は中国の好景気によって支えられてきた。その中国での2015年の調査結果を振り返ると、景況感DI※のスコアそのものは日本の結果よりも遥かに高いが、6月中旬以降、中国での景況感の前年同週比は1.0を下回り続け、緩やかに下降し始めている。2015年6月の中国株が暴落によって中国人の景況感にも何か潮目が変わったように思われる。

※景況感 DI(先行)・・・2~3か月後の身の回りの景気を、「良くなる(100)/やや良くなる(75)/変わらない(50)/やや悪くなる(25)/悪くなる(0)」と点数を与えたときの平均値

経済のグローバリズムによって、日本の経済活動も中国の景気に大きな影響を受けることが想定される。MACROMILL では今後も、日本・中国・韓国で定点観測調査を継続して実施してゆくので、引き続き消費動向に注目していただきたい。

執筆者プロフィール

マクロミル総合研究所 研究員
村上 智章(むらかみ・ともあき)
株式会社マクロミル
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