2015年を振り返って・・・COLUMN

2015.12.28
マクロミル総合研究所
主席研究員 西部君隆

マクロミルは2015年12月28日が年内の最終営業日となる。2015年もお客さまをはじめ、本コラムを読んで下さった皆さまや業界関係者の皆さまには多大なるご支援を頂戴した。お世話になった皆さま方には、マクロミル総研一同この場を借りてお礼を申し上げたい。来年もまた、変わらぬお付き合いを頂ければ幸甚である。

2015年も振り返ってみると様々な出来事があった。爆買い・北陸新幹線の開通・ラグビーワールドカップでの日本代表の大躍進など人々が熱狂するニュースがあった一方、食品への異物混入や企業の偽装や改ざんなど消費者の安心を脅かすような言葉をよく耳にした1年でもあったように思う。
企業も個人も信頼を失うのは本当に一瞬だが、それを再び築き上げるのには膨大な時間を要する事だろう。いくら「安心してください。○○ますよ。」と、とにかく明るく言われても、中々安心できるものではない。我々も常に誠実で、卑ではない行いをしようと改めて身につまされた。

さて、一方、我々マーケティングリサーチの業界はと言うと、JMRAの経営業務実態調査によれば日本国内のマーケティングリサーチの市場規模自体はここ数年ステイから微増であり、今年まとめられた第40回調査の推計値によると、マーケティングリサーチ市場全体の伸張率は前年比+2.7%、その中でもこれまで毎年10%程度の伸張を続けて来たインターネットリサーチの伸張率は前年比+2.6%となり、インターネットリサーチと業界全体の伸張スピードの足並みが揃ったのが今年であった。
国勢調査においても今年からインターネットでの回答が推進された事を考えると15年前にイノベーションを起こしたインターネットリサーチが完全に定着し、市場は定常期に入ったと言えるのかも知れない。
※国勢調査の回答デバイスがPCやスマートフォンに置き換わる事とインターネットリサーチというビジネスモデルの話は全く別の論点だが、それは別の機会に論じよう。
そんな市場が定常期に入った今年は業界内の動きも比較的穏やかだったように思う。昨年2014年はマクロミルを含め、日本国内のリサーチファームの海外企業買収など業界内でのダイナミックな動きがいくつか見られたが、今年はリサーチファーム各社がNext Actionの模索と準備に徹した1年だったのだろう、インパクトのあるニュースは少なかった。

インターネットリサーチが定着を終え、来年以降マーケティングリサーチ業界のイノベーションはどんな切り口から起こるであろうか。今年はウェアラブル元年とも呼ばれ、Apple WatchやGoogle Glassなどが話題になった事は記憶に新しい。ウェアラブルデバイスで生活者の行動がデジタル化され蓄積されれば、マーケティングリサーチに与える影響は大きいだろう。ビッグデータ、機械学習などデータ解析技術に振り切ったテクノロジーの流れがある一方で、対極にある感性重視のインサイト発掘にも今、改めて注目が集まっている。
さらに、2016年はESOMARのASIA PACIFIC Conferenceが東京で開かれる事もあり、グローバル化の進行は益々進んで行くだろう。もちろん、スマートフォンの台頭により、現在のパソコンがスマホに置き換わるだけのただのデバイスシフトではなく、「その時」・「その場所」での意識や行動を切り取るin the moment型のモバイルサーベイもまだまだ発展の余地がある。
各社次の一手の準備を行った静かな1年だったとは言え、このようなワクワクするイノベーションの種はたくさん転がっている。その切り口は大きく分ければ以下の3つかそれらの組み合わせになるだろう。

  1. ウェアラブル、センシングなど【取得データの多様化】
  2. 機械学習、人工知能など【データ分析の高度化・自動化】
  3. モバイル、グローバルなど【既存フレームの深化・進化】

次のイノベーションが上記3分野のどこから起こり、それを起こすのが誰なのか、我々リサーチファームの中から生まれるのか、それとも全く別のプレーヤーが現れるのか。我々マクロミルも次のイノベーションの一翼を担うべく、来年も真摯にお客様と技術に向き合って行かなくてはならない。

「今年は、デバイスのダウンサイジングが急速に進んだ。被るだけで脳波が計測できる帽子や、付けるだけで発汗を感知する手袋の登場により、被験者が自宅にいながら生体反応を測定できるサービスがローンチされ、バイオメトリクスに劇的なパラダイムシフトを起こした。
また、今年は人工知能を内蔵した人型ロボットが定性リサーチャーとしてデビュー。表情解析、音声認識、機械学習を駆使して被験者のノンバーバルな情報も完璧に読み解き、質的インサイト発掘にも大きなイノベーションが起きた。」

私が年末にこのような振り返りを行うのは何年後になるだろうか。

西部君隆執筆者プロフィール

マクロミル総合研究所 主席研究員
西部君隆(にしべ・きみたか)
株式会社マクロミル
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