マルチデバイス時代のアンケート、回答はいつ?どこで?COLUMN

2015.12.03
マクロミル総合研究所
研究員 村上智章

調査は早く終わればいいわけではない

かつてインターネットはPCを通してダイヤルアップ接続、またはADSLで接続するものであった。一般消費者向けのインターネットサービスの利用は、21~23時台に利用のピークとなり、活況を呈していた。ネットリサーチもまたゴールデンタイムを意識した配信と回収を目指していた。しかし、スマートフォンでの回答が増えている昨今、その状況に変化はないのだろうか。今回のコラムではスマートフォンで回答する人は、いつ、どこで回答しているのかを紐解いていく。

図1は、マクロミルのアンケートモニタの回答時間帯を職業別にみた分布である(期間:2015年7月1日~31日)。回答する時間帯は、平日と休日で大きく異なることがわかる。

図1 回答時間帯の職業別分布(平日/休日)

職業別回答時間帯分布(平日) 職業別回答時間帯分布(休日)

左の平日の分布図をみてみよう。平日は、職業によって回答時間帯に大きく違いがあることがわかる。極端な例で言えば、平日の昼間だけでアンケートを回収してしまうと、有職者はなかなかその時間帯に回答できない。このように回答期間を狭めてしまうと、調査データの職業構成に何らかの偏りが発生する。いかに低コストで早いネットリサーチとはいえ、あまりにもスケジュールを最優先して回収することは標本に何らかの偏りが生じてしまう。

次に右の休日の分布図についてみよう。時間帯の分布は異なるものの、職業間の違いは小さい。休日に調査を実施すれば、短時間でアンケートを回収しきっても、属性に偏りは生じないと思うかもしれないが、実際にマーケティング・リサーチの多くは平日にスクリーニング調査を実施しているので、スクリーニング調査を終えた時点で、本調査の配信対象者自体に偏りが生じてしまっている可能性がある。

現在のマーケティングの意思決定にはスピード感が要求されるのは理解している。しかし、重要な意思決定の判断ミスを与えてしまうような短期間での調査は避けるべきである。そして、もし主な調査対象者が「専業主婦(主夫)」であるならば、深夜に回答を依頼するよりも、家事が一通り落ち着いた午前中に依頼した方がより効率的である。こうした調査対象者の生活スタイルを意識して調査を開始する時間帯を検討してみるのもいいだろう。

スマホ回答が多いのは12時台と22時台

以前の総研コラムで述べたように、スマートフォンからの回答者は全体の約3割である。今回は、どの時間帯にどの回答デバイスによって回答されているのかを示したい。

図2は2015年7月に当社が実施した自主調査における、平日/休日のデバイス別回答時間帯分布である。これをみると回答のピーク時間帯は10年前のネットリサーチとほとんど変わらない。また、スマートフォン回答であっても、ネットリサーチは夕方以降に配信されるのが主流であるため、必然的に22時台の回答が最も多い。

そして、スマートフォンでの回答時間帯分布は10~22時台の活動時間帯もほぼコンスタントに出現している。同一時間帯におけるスマートフォンからの回答数が占める割合(スマホ占有率)を見てみるとは、平日の12時台や7時台で跳ね上がっていることから、昼休みや朝の通勤・通学時間帯にもスマートフォンで回答していることがわかる。

図2 デバイス別回答時間帯分布(平日/休日)

デバイス別回答時間帯分布(平日) デバイス別回答時間帯分布(休日)

スマホからの回答、自宅は8割、自宅外は2割

回答時刻をみると、回答者は自宅ではない場所で回答していると推察ができる。では果たしてどこで回答しているのだろうか。
図3は2013年に当社が実施した自主調査結果で、そのアンケートに回答しているデバイスと場所を質問したときの回答結果である。縦軸は回答デバイスの構成比、そして横軸はその回答場所を示している。

図3 デバイス別回答場所構成比

デバイス別回答場所構成比

どのデバイスも「自宅で」回答している割合が最も高く、PCでは92%、スマートフォンとタブレット端末は79%が「自宅」と回答した。スマートフォンはいつでも、どこでも回答できる情報端末であるが、アンケートが配信される時間が夕方以降であるため、スマートフォンから回答する場合でも自宅で回答するが最も多い。

そして、自宅外での回答が約2割を占めるスマートフォンとタブレットに着目すると、スマートフォンでは「移動中」が11%、「職場、学校」が8%で、タブレット端末は「移動中」が6%、「職場、学校」が13%だった。今後、スマートフォンでの回答が増えていくことが予想される中で、自宅外での回答、特に「移動中」のに回答する人が増えていくだろう。世の中全体がPCからスマートフォンへとシフトしていることを受けて、ネットリサーチもまた「移動中」のスキマ時間の間に回答を終えることができるようにコンパクトな調査票設計を心がけていく必要があるだろう。

執筆者プロフィール

マクロミル総合研究所 研究員
村上 智章(むらかみ・ともあき)
株式会社マクロミル
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