「こんな調査票は嫌だ」シリーズ #1 設問文の文字数を制限せよCOLUMN

2015.08.27
マクロミル総合研究所
研究員 鳥居 慧

マクロミルの調査部門の社内体制は、大きく分けて営業とリサーチャー、そして調査のWEB画面を作成するチームに分業化されている。私はマクロミル総合研究所に属しているかたわら、調査票をチェックする業務も行っている。チェック業務では、クライアントと確認しながら調査のWEB画面作成の担当者が作成した調査票を、もう一度第三者の視点からダブルチェックしている。

「お客様が取りたいデータが取れるような設問設計になっているか」「設問文や選択肢などの文言や画面制御にミスはないか」を中心に調査票のチェックを行っている。私ひとりでも一月に100本程度、年間にすると約1200本の調査票を見ている。事前調査まで含めると2000本にもなるだろう。

誠に僭越ながら、私は日本一(いや世界一といっても過言ではないだろう)数多くの調査票に目を通しているという自負がある。そのようなチェック業務のプロフェッショナルとして、依頼される調査票について最近沸々と感じることがあるので、そのことについて記していくこととする。今回は・・・

「設問文はできるかぎりシンプルに」

詳細に条件をしぼるために設問文を長々と書くべきではない

今、これを読んでいる方にしてみれば「なんだ、当たり前のことではないか」と思うかもしれないが、調査票を作成している本人ほど意外と気づかないものである。慎重になればなるほどその傾向が高く、「この条件もきちんと追記して、回答者の勘違いをなくしたい」という気持ちが働き、様々な注釈が書き足されてしまい非常に長い文章になった状態の調査票案をご入稿いただくことが多々ある。

【図1】設問文が長い例(左:PC画面 右:スマートフォン画面)

PCSmart Phone

少し大げさに作成しているが、上記のような設問文を見て、回答者はどう思うだろうか。
私自身がアンケートモニタであったとしたら「注釈文が多くて読む気がしない」「結局何が言いたいのかわからない」「真面目に回答する気も失せてしまう」と思っても不思議ではない。

文章力を磨き、短く書く勇気を持つべき

回答の条件を正しく伝えようとするあまりに、回答意欲を低下させてしまうというジレンマに陥っているのではなかろうか。私はこのジレンマを解決するために、以下の2つのアプローチがあると考える。

  • 文章力を磨く
  • 詳細に書かなくても、大きく回答者の解釈がずれないものは割愛する

ただ思いつくままに注釈文(条件文)を列挙するのではなく、うまくまとめて記載できる力を磨くべきである。また、詳細に書かなくても回答者の解釈がずれそうにないものは割愛する勇気を持つべきである。以下の設問は、既出と同じ内容の設問であるが、このことを踏まえて改めて作成したものである。

【図2】設問文を極力短くした例(左:PC画面 右:スマートフォン画面)

PCSmart Phone

いかがだろうか。設問文が短くなるだけで、調査画面が非常にスッキリしたものになる。特にスマートフォンは設問文の占有面積が減り、選択肢も一覧で表示できるようになった。

未来のリサーチに向けて-

PCからスマートフォンへのデバイスの変化もあり、スマートフォンからアンケートを回答する人にも配慮しなければならない。そうであれば今後の調査票はどのようにしたら文章量を少なくすることができるのかという調査票を作成するセンスが求められるのは必然である。(個人的にはゲーミフィケーションで応用した“文章を読ませないリサーチの出現”にも期待している)

ネットリサーチの調査票を作成にあたっては、例えば「設問文の文字量は100文字まで、レイアウト的には4行まで」という独自の基準を設定し、設問文を極力短くする努力をしていただきたい。今回は設問文の長さに焦点を当てたが、「一般の人でも回答できる、シンプルな調査票設計を心がける」というマーケティング・リサーチの原点に戻って欲しい。

鳥居 慧執筆者プロフィール

マクロミル総合研究所 研究員
鳥居 慧(とりい・けい)
株式会社マクロミル
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